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EL(イージーラメラロックウール)付加断熱工法の概要

これからの高断熱住宅の建設において、壁面に対する付加断熱は避けて通れません。
北海道では意欲的な工務店様が建設したQ-1レベル以上の住宅が、その居住性、省エネルギー性が理解され、実際に数多く建設され始めました。Q-1以下のレベルの住宅は建設しないと宣言した工務店様が、受注棟数を大きく伸ばしている事実からも、市民の高い関心の移り変わりを理解する事が出来ます。またBIS(Building Insulation Specialist)の2015年度版においても、壁の断熱厚は200ミリを中心に解説され、これからは200ミリ断熱が寒冷地の標準的な断熱規準になるだろうと書かれて居ります。

ELロックウール付加断熱工法は、施工の簡素化、合理化、コストダウンを狙い、ヒートブリッジの無い高性能化、耐火性やシロアリに侵されない長期安全性、付加断熱厚を厚くしても、“壁だれ”を起こさない強度を確保できる最新の工法です。

付加断熱を厚くすると“壁だれ”を起こす危険があり、重量のある外装材を使用できない事が、多くの住宅デザイナーの悩みで、性能を犠牲にして薄い断熱材を使用する事が目立ちました。これらの悩みを解決したのがELロックウール付加断熱工法です。
特別な下地を必要とせず、外壁の支持力が従来の10~15倍にもなる工法®を採用して施工コストの低減、ヒートブリッジの少ない理想的な高断熱、壁構造を実現する工法です。

EL(イージーラメラロックウール)構成

ロックウールの耐火性(Max 1000度C)と高断熱性(熱伝導率λ=0.032W/mK)を生かした工法で、125ミリまでは、耐震強化用合板[OSB等]に直接取り付ける事が出来ます。150~200ミリ厚は、断熱層の、地震時の横揺れ防止、補強の為に、横板を[断熱厚x30ミリT])平屋3か所、2階建て5か所程度、建物外周に取り付ける必要があります。横板の取り付けは、150ミリ以上の付加断熱を行う時のみに必要で、この部分のみがヒートブリッジになりますが、従来工法よりも、はるかに影響が少なく、その方法は非常に簡単です。

EL付加断熱用のロックウールは140k,80k、の、密度が異なる2種類のボードで構成されています。140kラメラボードは耐圧強度が2800kg/㎡、サイズは100X1000で、500ミリ間隔で挿入され、初期の胴縁取り付け時のビスの圧力を支える役目を果たします。 最初に140kラメラをOSB表面に、横に貼り付け、その上に80kボードを積層させて、貼り付けてゆきます。これらの貼り付けは、強力な瞬間スプレー接着剤を使用して貼り付けますから、非常に簡単です。
ロックウールは50,75,100,125,150,200mmの6種類が用意されています。
140K,80K、ロックウールボードの熱伝導率λ=0.032W/mKです。

形状と性能

製造するサイズは、ご希望により変更可能です。
但し、一定量以上の数量に限ります。然し、余りサイズが大きくなると、高所作業で、風が強い場合、断熱材が風の風圧を受け、かえって作業の効率が悪くなってしまいます。

施工手順

1

土台の最下部(断熱を必要とする最下部)を決め水平に横線を墨打ちする。

2

Aの片面(ラメラ形状のロックウール)に接着剤をスプレーし最下部の墨打ちしたラインに沿って、Aを水平にOSBに接着します。左側、写真参照。

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断熱材よりも10mmほど長いビスにワッシャ―を通し、1mに対して2か所をOSBに止めて下さい。

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しばらく放置すると、接着剤が硬化して、動かなくなります。

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Aの140Kのラメラボードは、水平に、正確に取り付けて下さい。
Aの取り付けが水平でないと、上に行くに従って、狂いが大きくなる恐れが生じます。

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狂いが生じても、簡単に直す事は可能ですが、作業効率が悪くなる恐れがあります。

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最初のA(140Kラメラボード)の取り付けが完了したら、B(80K,500x1m、ボード)の片面に接着剤をスプレーし、Aの上部に重ねて、OSB表面に接着させます。

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この作業を、上に向かって、継続して下さい。A.B.共に2~3枚ずつ、並行して貼ると、効率的です。開口部周りは、必ずロックウールの切断作業が伴いますから、別に集中的に施工したほうが得策です。

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接着剤は弊社指定の物をご使用ください。スプレーする前に、缶を良く振った上でご使用ください。引火性のガスが含まれていますから,火気厳禁です。缶の表面に取り扱い説明が書いてありますから、よくお読みいただいた上で、ご使用下さい。

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接着剤 一缶の正味量は420mlで★★★★品です。一缶当たり、8~10㎡の施工が可能です。
降雨時、OSB表面が濡れていると接着剤の付きが悪くなりますから、作業を中止して下さい。

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ロックウールは±0.5mmの精度で、正確に切断されています。一段毎に、取り付け状態を確かめながら、下部から上部に向かって取り付けてください。

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窓周りや,ドアー等の開口部、出隅,入り隅等を施工する場合には、現場の寸法に合わせる為、ロックウール(A,B)の切断作業が必要になります。ロックウールの切断には、ダイヤモンドで強化された刃を有する回転丸のこ,又は30ミリ以上の幅がある包丁をご使用ください。
(注意)木材用の丸のこ、はすぐに切れなくなります。カッターナイフは、切り込みを入れたり、少しのロックウールをそぎ落とす場合を除き、切断には使用しない事。高密度ロックウールの為、刃が曲がり、正確に切断出来ません。幅広で、先端が細い、包丁が最適です。

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ロックウール同士の接触面には、隙間を作らないように注意して下さい。
隙間が出来た時は、80Kボードの切れ端を、薄くし、包丁の刃の裏側を利用して隙間に充填して下さい。簡単な作業です。断熱材の接点に隙間を作る事は、大きなヒートブリッジになるばかりでなく、結露発生の原因になります。断熱性能の良し悪しは、施工精度の良し悪しで決まる事を良く理解して下さい。
[施工する大工さん等に此の事を徹底して下さい]

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開口部周りのロックウールAの取り付け方、窓、ドア等開口部の上、下には下図の様に、RWラメラ品(140K,A)を必ず取り付けて下さい。
Aのラメラ品が大きな耐圧性を発揮しますから、胴縁の取り付けが容易になります。
横胴縁[サイデイングの縦張り]の場合にも、RW(A)は木下地と同じように、取り付けて下さい。

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胴縁は外壁の重量を支え、外壁側通気層を確保し、室内側から透過してくる水蒸気を外気に拡散させ、壁内を常に乾燥状態に保つ、重要な役割を担っています。
通気層内換気は、圧倒的に風圧によって換気されますが、無風状態では、壁面を透過してくる熱が、通気層内の空気を暖め、内部の空気が軽くなって上昇する。
通気層内部が負圧になって、下部から外気が侵入してくる。この循環作用によって水蒸気の排出を行う訳ですから、非常に重要な役割を担っているのです。通常、18mm等の胴縁を使用しているのが一般的ですが、重量サイデイングタイル、モルタル等をご使用の場合には、24ミリ、もしくは30ミリ厚の胴縁のご使用をお勧め致します。特にサイデイング縦張り用の胴縁は、切り込み、切り欠き等を施し、部分的には胴縁の厚みが薄くなり、強度が弱くなるのが実態です。
胴縁は30mm厚等、出来るだけ厚い胴縁をご使用になる事を、お勧めします。

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ロックウール表面にタイベック等の透湿、防水フィルムを貼る方法
外壁面に、付加断熱のロックウール取り付けが完了した時点で、(胴縁取り付け前)表面にタイベック等を貼る必要があります。従来の様にタッカー等で木部に止める事が出来ません。(150ミリ以上の場合は横板が施工されていますからタッカーで取り付けは容易です)然し、スプレー接着剤で簡単に貼る事が可能です。
タイベック等が品質の違いで、接着性が悪い物があります、前もってフィルムに接着剤を塗布して確かめて下さい。
その場合には、長ビスにワッシャ―を取り付けOSBに仮止めすると、作業がしやすくなります。

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胴縁の取り付け
縦胴縁を取り付ける場合、柱部に対しては、多少位置がずれても問題はありません が、間柱[通常30mm幅]に対しては、中心部に、正確にビスを打ち込む必要があります。この工法を採用される場合、間柱の寸法を38ミリ幅以上の幅の広いサイズの物をご使用になる事をお勧めします。
躯体側に対する断熱施工は、付加断熱施工が完了した後に行って下さい。室内側から見て、ビスの先端部が見えたり、間柱の途中から、ビスが斜めに見えたりする個所は、胴縁の支持強度が弱くなっている証拠ですから、見えなくなるまで、再度、外側から打ち直して下さい。
18ミリ厚の胴縁の場合、あまり力を入れて打ちこむと、胴縁の表面が波打ち、サイデイング施工に問題が生じます。
胴縁は通りを良く見て、まっすぐに止めて下さい。ビスの先端が30ミリ以上、柱、間柱に食い込んでいれば、所定の支持強度は充分に発揮されていますから、心配無用です。

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躯体側に対する断熱施工
吹き込み工法[RW,CF,GW等]で施工すると施工精度が高まり、問題がありませんが、マット状断熱材を充填する場合は注意が必要です。スタッド間に完全に、厚みを保ち、充填しなければなりませんが、各部位にフィットするようにカットされたGW等が間に合わず、現場で切断して使用するケースが良く見られます。特に本州方面では、6面被覆されたGW,RW等が使用されており、寸法に合わせてカットする事が難しい、作業効率が上がらない理由で,柔らかい事をいい事に、そのまま押し込んでしまう施工が良く見られます。
左下の写真は、そのような現場の赤外線写真です。充填断熱のやり方で、断熱性能がどのように変わるかを右側に示します。このような施工をされたのでは、せっかくの付加断熱も意味がなくなります。

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壁だれ防止の工法®
外壁にタイル、石板、モルタル、重量サイデイング等を使用しても、壁だれを起こさないのが、この工法の特徴です。

弊社独自の長ビスを左図の様に、胴縁から45度の角度で斜め上,あるいは斜め下に打ち込む事で、壁の支持力が飛躍的に高まり、壁だれが起きなくなります。
例えば、1階から2階までの使用胴縁の長さを6mとし、3.6mと2.4mの胴縁を使用する場合、此の胴縁にかかる荷重は0.455x6m=2.73㎡、㎡当たり30Kgの外壁を使用すると、81.9KG、即ち此の胴縁にかかる荷重は約82KGです。100ミリの付加断熱を行い胴縁を300ミリピッチのビスで躯体に留めた場合、21本のビスを使用します。
ビス1本の1ミリ変位の耐荷重の限度は2.19KGですから、2.19x21=45.99KGが、耐荷重の限度です。45.99>82となり“壁だれ”が起きます。
そこで、45度、上向きの長ビスを1本打ち込むと40.6KGが補強され、合計45.99+40.6=86.59KG<82KGとなり、壁だれを防止できる事になります。
(ここでは胴縁の長さを3mとして計算して居りますが、3.6mと2.4m,別々に分けて計算すると3.6mでは、ビスの使用本数が13本、0.455x3.6x30=49.14KG(胴縁にかかる荷重)>ビスの荷重支持力=13x2.19=28.47, “壁だれ“の発生は明白です。これに斜め打ちのビスを打ちこむと28.47+40.6=69.07KG>49.14 となり、壁だれは起きません。この場合には3.6mと2.4mの胴縁に、それぞれ斜め打ちビスを打ちこむ必要が生じます。
胴縁を金具で繋いで、長くするか、別々に斜め打ちのビスを2本使用するかの選択です。
このようにして胴縁に掛かる荷重を計算しながら、斜め打ちのビスの本数を決めて下さい。
又躯体に止めるビスの本数を打ちこむピッチを200ミリ等間隔を狭くし本数を増やすことで耐荷重を大きくすることも可能です。
出来るだけ胴縁の荷重支持力を大きくする為にも、斜め打ちのビスを併用した方が安全です。
水平打ちの耐荷重と斜め打ちの耐荷重を合わせた総数[耐荷重の限度]と外壁の重量を比較しながら、仕様を決定して下さい。

[注意]特許では斜め上、下、ビス打ち補強、両方が申請されていますが、斜め下方向はサイデイング等の破損で、内部に水が侵入した場合、ビスを伝って水が躯体側に侵入する恐れがあり、実際の施工では、お勧め出来ません。胴縁強化用のビスは斜め上向き45度で行って下さい。

この工法で使用されるロックウールはByucksan Co.,Ltd.( Korea )製で、JIS製品です。日本の★★★★製品の承認を受けており、日本国内における使用には全く問題がありません。
断熱性能に関しては、Korea Testing &Research Institute が正式に発表しておりISOで世界共通の性能として承認されています。Byucksan Co.は,技術開発に熱心でRWの細繊維化に挑戦して居り、断熱性能は飛躍的に向上して居ります。

サイデイングにバーナーの炎を当てて加熱すると、サイデイングには穴があき、完全に破壊されてしまいますが、中のロックウールは変色するだけで、びくともしません。
(変色するのは、ロックウールに微量のフェノール樹脂をからませてあるからです。
フェノール樹脂の耐熱性は300度程度ですから、変色はしますが、燃えだす事はありません。600~800度にも達するバーナーの炎を完全にブロックし、内部を保護し、防火の役目を果たします)
サイデイングの内側に発泡系断熱材を使用した実験では,すべての断熱材が溶けた後で燃えてしまいます。耐火30分、45分を取得していると云われますが、それは、サイデイング等の外壁材だけが、所定の時間だけ火災時の高温に耐えるだけで、それ以上の時間が経過すると燃えだすと考えるべきです。
地震等の災害発生時には、所定の時間内に消防車が来てくれるとは限りません。
外装材が破損しなくても、時間が経過すると、周りの雰囲気温度が高くなっていますから木造住宅の場合には、発泡系断熱材が引き金になり、建物の構造体に着火してしまいます。
ロックウールは本来1000度にも耐える不燃断熱材ですから、建物を保護し、火災の発生を妨げる働きをするのです。ロックウールの様な不燃の断熱材を使用する事は、安全性を担保する上で非常に大切な事です。
建設業者の建て主様に対する“思いやり“が、こんな処に現れます。火災事故による不幸を被るのは、建築業者ではなく、必ず建て主様なのです。

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